迷い道

昭和52年(1977年)に渡辺真知子が歌ってヒットさせた曲です。初めて聴いたとき、しっかりとした音程、伸びのある声、豊かな声量、「最初からこんなに歌唱力のある新人なんて!」と驚嘆したものです。のびやかな声の持ち主で、高い音がもう少しで裏返るかなというぎりぎりのところでつやのある声を出します。

さらに驚いたことには、渡辺真知子はシンガー・ソング・ライターで、彼女自身がこの曲を作詞作曲したということです。声がよいだけでなく、作詞作曲の才能もあるなんて、またまたびっくりです。かわいらしい少女然とした風采からはそんな才能があることを感じさせませんでしたから。

変わっているのが歌詞です。いきなり「現在、過去、未来」ということばが来て印象的なのですが、これが後に続く「あの人にあったなら」とまったく脈絡がありません。普通なら「過去、現在、未来」とつながるのが時の流れですが、順序が入れ替わった「現在、過去、未来」とい組み合わせにも、何か哲学的な意味を考えてしまいます。

「迷い道」という曲名も変わっていますが、「くねくね」という表現にまたまたびっくりです。このような擬態語は普通口語的には使いますが、歌詞では使わないのが普通でしょう。このころから歌詞のニューウェーブが始まったように感じています。

しかし、歌詞の意味を考えると、なるほどうまい詞をつくったものだと感心させられます。人生はさまざまに迷いながら進んでいきますが、この「くねくね」という表現に、本当に道に迷い、悪戦苦闘する姿が強く想像できる気がしました。

当時わたしは大学を出て2年、確固とした目標が持てず、定職と言えるほどの職につくではなく、日々の雑事のなかに埋没するような日々を送っていました。夢のない残骸のような生活ぶりでした。そんな迷い道に迷い込んだ生活をうまく表現したような歌詞で、わたしの心情にもぴたっとくる曲でした。

まあ、現在も「迷い道くねくね」であることは違いありませんが・・・。

http://www.youtube.com/watch?v=4975vWCs_bg

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