あの日に帰りたい

この曲は昭和50年(1975年)の発表で、荒井由実(ユーミン、現松任谷由実)としては6枚目のシングルだそうです。以前取り上げた『ルージュの伝言』の次の作品で、発表されたのは同じ年のうちでした。このころ量産体制に入っていたようです。

しかし、今の記憶では、わたしはこの曲でユーミンの存在を知ったとような気がしています。『ルージュの伝言』のほうがあとから耳に入ったような感じです。ひょっとするとこの時点では同じ人物の作品だと思っていなかったのかもしれません。いい歌だけど歌いかたは下手だなあ、と思った覚えがあります。

『あの日に帰りたい』は、じわじわと心にしみいってくるような曲です。スキャットが入ってくるイントロは昔を思い出すような感じで、根拠はないけどなぜかシャンソンのようだと思いました。続いてはじまるリズムはしっとりとしたジャズのイメージです。ほんわかとした昔の思い出を懐かしんで、あの日に帰りたくなってしまいます。

「青春の うしろ姿を 人はみな 忘れてしまう」
歌詞でいちばん気に入ったのがこのフレーズです。「青春のうしろ姿」というのが特にいいですね。青春の置き土産のようにかすかにくっついた思い出は、楽しい思い出にしてもつらい思い出にしても、その人の人生のひとこまです。しかし、やがてひとつふたつと忘れ去っていってしまう。さみしいですが仕方ないですね。

ほかにも、心に残る部分がいくつかありますが、あと一点だけ。
「悩みなき 昨日のほほえみ わけもなく にくらしいのよ」
「昨日のほほえみ」が「にくらしい」というのも、なぜ憎らしいのか、詞の脈絡からは分かりません。しかし、もっと軽い「うらめしい」というぐらいのことかと考えると、昔わたしにもそんな場面があったような気もしてきます。

それにしても、昔を懐かしんで「あの日に帰りたい」と思うことはたびたびあります。もういちど戻れたら、こうしたいとか、あんなことはしないのにとか。しかし、これは単なる願望にすぎません。そして願望が頭をもたげるのは一瞬です。いやいや、戻ってもたいしたことはない、もっとひどくなっていたかもしれないと、真顔に戻ってしまいます。それに、苦しかったあの日にもう一度戻るなんてたまらない、あの苦しみの日々には堪えられない、という思いもよぎります。

ユーミンが山本潤子と歌った映像がありました。このころにはユーミンは歌い方もだいぶ上手くなってきていますね。山本がいいスキャットを聴かせてくれます。

https://www.youtube.com/watch?v=eBxoFAVUTOs

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